へぇ、難しいこと考えてるんだね、ってさ、私はそんな言葉は望んでない。
頭を動かして、考えることが好きである。
私は大して頭が言い訳ではないけれど、それでも私なりにいろんなことを考えてみるのが好きである。
そして、誰かと一緒に考えることもとても好きである。
だから、彼氏にもそれを求めようとした。
私が考えていることを知ってもらうことが、私を知ってもらうことにつながると思ったし、彼の考えていることを知ることで、もっと彼を知りたいとも思っていた。
でも、たくさん考えたことを話した後、彼の口から出てきた言葉は半紙みたいに薄いものだった。
「難しいこと考えているんだね、さすがだね~」
そこには、一緒に考えるとか、考えについて深堀りするとか、そういった選択肢は含まれていなかった。
まるで、私が彼に向って自慢げに演説していたかのような雰囲気だ。
きっとわかってくれる、と高をくくって話をしていたけれど、それは少し違ったみたい。
彼は、私の世界に入っては来ない。
私が開けた心の扉には、冷たい風が吹きこんでくるだけだった。