電話を切った後、お風呂も入らず重い体をベッドに預けた
遠距離恋愛の私たちは、たまに電話をして相手の声を聞く事がある。
多くのカップルは、そうした電話で元気をもらったり、明日を生きる活力としたりするのだろうが、最近の私はひどい疲労感を感じてしまう。
悪い時は電話の終盤でベッドに身をゆだね、電話を切ってからは何もできなくてそのまま寝てしまうことだってある。
どうしてそうなってしまったんだろう。
そうなってしまったのがいつからなのか、もう忘れてしまった。
気付いたら、彼との電話で私はいつも彼の未熟な部分を「かわいいな」と思って聞けなくなり、「最近どう?」の問いかけに「ぼちぼち」と答えるようになり、電話したい、というLINEに対して「タイミング悪いなぁ」と思うようになり、時折訪れる沈黙のたびにため息をつくようになり、死んだ目でアハハと声だけ作り笑いをするようになっていた。
話している内容は、決して重苦しいものではない。
でも、ふとした会話の中で聞こえるワードに違和感を感じるたび、気持ちがまた一つと下がっていってしまう。
電話は顔が見えないから、声色だけ保っていればある程度はごまかせてしまう。
このモヤモヤした気持ちは、電波に乗り切らないで私の周りをゆらゆらと彷徨っている。
いっそ、それごと届いたらいいのに。
私も私で、中途半端なやさしさを持って電話に出て、声色を作って話してしまうからモヤモヤが伝わることもない。